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【AFT講義レポート】「編集長が語るムーブメントのつくり方2」講師:古川 誠(『OZ magazine』編集長)

NOVEMBER 11, 2010 11:02 PM / CATEGORY:AFT講義レポート

◇講義開催日:2010年11月11日(木)

専門誌にはできない"アート"のつたえ方

1987年6月に創刊され、来年25周年を迎える『OZ magazine』
出版業界では「雑誌が売れない」と嘆かれていますが、
順調に販売部数を伸ばしている媒体でもあります。

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2008年6月、月刊化にむけてリニューアルをした
『OZ magazine』の第一特集はアートでした。
アート専門誌も販売部数に頭を悩ませるなか、
同号は社内に在庫がなくなるほどの反響を呼び、
現在では年に1回の"アート特集"を楽しみにしている読者も少なくありません。

では、なぜ『OZ magazine』×アートは相性がいいのか?
古川編集長はこう話します。

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「『OZ magazine』では"もの"や"場所"を情報として伝えるだけでなく、
そこに潜む"物語"を伝えていきたいと考えているんですね。
そうしたことを知ることは、日常の繰り返しを肯定することでもあると
思うんですよ」

身のまわりにある"もの"を"もの"として捉えるのではなく、
その背景にある"物語を伝えるもの"として捉えることができたら
確かに、私たちのまわりにはワクワクが溢れているように思えます。

「日常を丁寧に」というコンセプトを持った『OZ magazine』。
アートの取り上げ方もやはり独自の手法がありました。

「専門誌があるなかで、アートを取り上げるのは勇気がいりました。
でも、最近のアートを見ていると"拝見するもの"から"体験するもの"に
変化しているように思えたんですよ。
それはつまり、物語を感じられるということ。
作品やアーティストのことを伝えるとともに、
展覧会を支えるボランティアスタッフなどの
"関わっている人たちの想い"も伝えたいんです。
もちろん、情報誌としてスタートした雑誌ですから、
実用性もきちんと兼ね備えていないといけません。
地元のスタッフの方からおいしいご飯屋さんを聞いたり、
おすすめのスポットを教えてもらったり、
この一冊を持ってその場所に行けるようにつくっています」

展覧会やアートイベントを支える人たちの数だけ、
そこには物語があるのです。
それが伝わることで、「このアーティストの作品が見たい!」という目的ではなく
「この物語がある土地に行きたい! 自分で感じたい!」という目的を持って
越後妻有の「大地の芸術祭」や、「瀬戸内国際芸術祭2010」に足を運んだ人も
少なくないはず。

『OZ magazine』は、専門誌にはできない手法で読者にアートへの入り口を
つくることに成功したと言えるのです。

ここでなんと「アート大特集」の8月号が受講者全員に
プレゼントされました!! これにはみなさん感激の様子。
受講生の目がキラキラと輝くなか、講義は続きます。

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続いては、サプライズゲストとして
同誌のカバー撮影を3年前からずっと担当している
写真家・川島小鳥さんが登場!
独特のやわらかい口調で、表紙撮影秘話を語っていただきました。
古川編集長もいつも悩んでしまうという、表紙候補になったプリントも
特別に公開していただき、雑誌制作の裏側も垣間見ることができました。

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あっという間に、90分が経過し、
いつもはシャイな受講生のみなさんですが
質疑応答でもバンバン質問が飛び交いました。

講義終了後も古川編集長を囲んで
みなさんいろんなお話をされていたようです。

次回の「編集長が語るムーブメントのつくり方 3」は11月20日(土)!
『美術手帖』編集長・岩淵貞哉さんが講師です!! 
そして12月3日(金)には『PAPER SKY』編集長であり、
ニーハイメディア・ジャパン代表のルーカス・B・Bさんも
登場です! お楽しみに!


3331 小西七重

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