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AFTスタジオコース作家によるごあいさつ展 『Hello!』開催中!!

JUNE 26, 2011 2:19 PM / CATEGORY:AFTお知らせ

本年度から新設したB1Fにある「AFTオープンスペース」。
現在、このスペースでは4名の作家が展示を行っています。

彼らは、24時間利用できる共有アトリエにて勢力的に
作品制作を行う「AFTスタジオコース」のメンバー。
今回の展示はタイトル『Hello!』のとおり、4名のアーティストのお披露目展となります。そこで、今日のblogでは彼らの素顔をのぞいてみます!

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まずは、彼らのアトリエをのぞいてみると......。
設置を終えてひと段落?と思いきや、黙々と制作中。
年齢もキャリアも、表現方法も異なるメンバーたちですが
こうしてアトリエを共有することで刺激にもなっているようです。

この日、ライブペインティングのために筆を
キラッキラにデコり中だったのは田口有希さん。
展示空間のいちばん手前にあるのが、彼女の作品です。
虫かごを思わせるフレームのなかに描かれた
光に集う虫たちの美しい姿が目を引きます。


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ふと目をやると、隣には薄い布が幾重にも重なる岸ナイルさんの作品が。
「今回の作品のコンセプトは?」と尋ねると、ナイルさんからは
こんな言葉が返ってきました。

「いま、なにかをつくるとしたら前向きな光のようなものが見たいし、
つくることで祈り、願いたいと思いました。
正直、これまで制作してきたような動機付け(疑問や問題意識)など、
どうでもいいと......。
とても抽象的なことかもしてませんが、はじめて自我(?)のようなものを
離れて作品をつくったような気がしています。
ある石巻出身のアナウンサーが言いました
"私たちは、何かをしてほしいわけではありません。
ただ、私たちの最後のひとりが立ち上がるまで
ずっと見守り続けてほしいのです"と。
遠く離れているけれど、実際には何の力にもなれないけれど、
心だけはずっと寄り添っていたい。そんな気持ちでつくりました」

そして、現在いわき市で制作活動を行っている藤城 光さんの作品。
いまから約3ヵ月前、彼女はそれまでと同じように作品制作を行っていました。
そこへやってきたあの地震、津波、さらに原発......。
つくりかけの作品は、倒れてきた本棚に壊され、画材の溶かした土が
床に広がりました。
目の前に起こり続ける物事への無力な焦燥感と悲しみ、
制作に向かえない悔しさを抱えながら、藤城さんは隙間を埋めるように
ボランティア活動をしていたと言います。

今回展示されている作品についてのコメントを求めたところ、
藤城さんは「少し考えさせてもらってもいいですか?」と答えて
後日、こんな言葉を届けてくれました。

震災から少しして、瓦礫の土地を踏んだとき
なにもないように見える風景が語りかけてくれるように思いました。
サインのようにそこに残ったもの、かえっていくものたちが発する気配、ニオイ、小さな芽吹き。
生と死、よろこびと悲しみ、痛み、ここにあった人生、これからも続いていくであろうこと......
汚染された地で生きる人々が抱えるもの、幾多もの感情に
涙が流れました。

なぜ私はこの場所にいるのだろう?
なんで生き残ったんだろう?
ここでなにをしているんだろう?
答えのない問いが繰り返されるなか、あるときふと懐かしいような風景がよぎり、
私は不思議と安らいだ気持ちになりました。
曖昧で、揺らぎ、ときに見え隠れするもの。
それらは何か希望のようにも感じ、私は描きはじめました。
そして、気がついたら3.11のときに制作しようとしていた作品をつくっていました。
赤い土をキャンバスに塗りながら、
私のこの血のなかに、たくさんの命が繋がっていることを思いました。


そして最後は、光を扱う松尾宇人さんの作品。
異なるリズムを持つ光が、大きな円のなかで重なり合い
その重なった瞬間だけ「白」になります。
作品のタイトルは『a planet』。
いくつもの光がレイヤーのように重なるその様は、
まるで私たちの住む世界がそうであるかのようです。
独立しているけれども、どこかで繋がっていて、
ある瞬間にお互いに影響し合っていることを知る。
松尾さんは今回の作品制作について
「自分のなかにあるものを確認したい」という思いがあったそう。

今回展示されている作品はすべて新作です。
"お披露目展"のため、共通のテーマを設けているわけではありません。
しかし、展示を見ていると
4つの作品は不思議とひとつのテーマで繋がっているようにも思えます。
ぜひ、その"繋がり"をその目で見つけてください。

7月10日(日)まで、地下AFTオープンスペースにて開催中です!

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