12月に入り、いよいよ日比野克彦 個展「ひとはなぜ絵を描くのか」の会期も、残すところあと1週間程となりました。オープン以来、クレーン・ペインティングやトークイベント、明後日朝顔の収穫祭や昨日のヒビノカップまで、展覧会を通して様々な出来事が、ここ3331 Arts Chiyodaで行われてきましたが、今日は改めて、展覧会そのもののご紹介をさせていただきます。
今回の展覧会は、日比野克彦というアーティストが、世界中旅をする中で出会ったその場その場の煌めきの瞬間を、描くという行為を通して自身が認識し、思考を巡らせた痕跡のような作品群です(13カ国、19の地域)。人に見せるつもりはなく描いたというその作品からは、描く日比野自身も、その景色に同化していたのではいかと思わせる、純粋性と普遍性が伺えます。
本展のメインとなる展示室は、パリのホテルで3日間閉じこもって描かれた、30枚のドローイングと共に、描いた際の詳細な心象を綴った文章で構成されています。「ひとはなぜ、絵を描くのか?」という問いに、作家なりに挑んだこの時間の推移を追体験することのできる、貴重な展示となっており、作品を生み出すことの苦痛と快楽を、まざまざと見せつけられることでしょう。
2000年代に入ってからの日比野の活動は、ワークショップをメインとした参加型プロジェクトで知られており、3331コミッションワークとしても明後日朝顔プロジェクトや明後日新聞の発行を行っていますが、本展では、一人のアーティスト日比野克彦の、創作の原点を垣間みる機会であると同時に、参加型プロジェクトとの共通点も見いだせる展覧会となっています。
ぜひ、お見逃しのないよう、お誘い合わせの上、ご来場下さい。
(本展コーディネーター/3331 長内綾子)
◎今後開催の関連イベント
【F】2010年12月10日(金)19:00-21:00
松本弥(古代エジプト研究者)×日比野克彦「原初の絵をめぐる旅」
詳細は関連イベントのページをご覧下さい。
http://hibino.3331.jp/event.html
▲エントランスの壁面に描かれた、逆さまの世界地図と旅に携帯したカルトン。
▲展示室全景。最新作の9月にラオスへの旅で描かれた作品も標本箱のような額におさめられている。昆虫採集のように、風景を採集したかのよう。
▲1980年代前半、東京藝術大学の卒業制作作品のほか、イラストレーション大賞受賞作品も展示。時代の空気を見事に写し取った41点の段ボールを使った作品群。
▲ペルー、イタリア、ボリビア、ブラジル、エジプト、ラオス等で描かれたスケッチやドローイングが所狭しと並ぶ。
▲パリでの作品が展示された部屋。写真では分かりづらいが、壁面に約8000字におよぶ作品制作時の心象を綴ったテキストが掲示されている。
▲映像資料上映コーナー。沖縄での水中スケッチの様子や、洞窟壁画と出会う旅の映像、そして1996年に、右手/左手/両手にペンを持ち実験的ドローイングを行った際の記録映像等を上映。
▲会場の一角で配布中の「明後日朝顔」の種が入った、種袋。「種は船」とのコンセプトから薬包紙を船の形に折っている。
▲種袋は、日比野展のボランティアスタッフチーム「チーム・ヒビノ」によるお手製。一つ一つ丁寧に作らてている。他にも、パリの作品展示室壁面に貼り出されたテキストは、チーム・ヒビノが一文字ずつカッティングシートを貼って完成させた。
撮影/編集:芹澤良克(チーム・ヒビノ)
撮影/編集:芹澤良克(チーム・ヒビノ)
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チーム・ヒビノとまわる
ヒビノ・ツアー 開催決定!
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日比野克彦個展「ひとはなぜ絵を描くのか」の展示ツアーを
チーム・ヒビノのメンバーが開催します!
なんと、このツアーは日比野克彦さんより直々に一点一点作品の説明を受けたメンバーが行う、
なんとも贅沢なツアーです。
週末に開催する予定ですので、週末にお越しになる方は是非、お申し込みください。
実際に作品のバックグラウンドを聞くと、見方が変わり、新しい感覚を感じることができます!
団体さまでのお申し込みも大歓迎!
子ども向けツアーも開催します!
日比野克彦個展「ひとはなぜ絵を描くのか」の世界を一緒に旅しましょう!
チーム・ヒビノのメンバーでの調整を行っておりますので、
日時が決定次第、随時アップしていきます。
まずは、下記日程でのツアーにご参加ください。
お申し込みは下記メールで頂きますが、直接会場にお越しの方は受付にて
お声かけください。予約の方が優先ですが、当日参加も大歓迎です!!!!
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【A】11月21日(日)13時~
【B】11月23日(祝火)13時〜/★17時〜
【C】11月27日(土)★13時〜/17時〜
【D】12月4日(土)/16時~
【E】12月11日(土)/★13時〜
【F】12月12日(日)/13時~
※★のお時間は子ども向けツアーも開催できます。ご希望ございましたらお伝えください。
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<申し込み方法>
参加をご希望の方は、メールまたはFAXにてお申込下さい。メールの場合、タイトルを「ヒビノ・ツアー予約」とし、1.【A】〜【F】と時間帯、2.お名前(ふりがな)、3.電話番号、4.メールアドレスを明記して、送信してください。
※通訳サービスはございませんのでご了承下さい。
(MAIL)hibino(at)3331.jp (FAX)03-6803-2442
※(at)を@にかえて送信して下さい。
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先日は某造形教室の子どもたちがヒビノ・ツアーに参加しました。
みんな、日比野さんの作品に興味津々でした。
11月14日、日比野克彦 個展「ひとはなぜ絵を描くのか」のメインイベント<クレーン・ペインティング>が行われました!当初は展覧会オープンの10月30日の開催の予定でしたが、台風のため2週間延期しての順延開催となったのです。
このペインティングのために、3331外壁面にはフレームが取り付けられ、白く大きな巨大幕が設置されました。引いて見るとその大きさはよくわからないと思いますが、ヨコ14.4m×タテ7mとかなりの大きさ!
当日、担当スタッフは朝7時半に集合し、鉄板を積んだ4トンユニック車と高所作業車(日比野さんが乗るデッキ型クレーン)の到着を待って、作業スタート。壁面や床面の養生作業などをしていると、日比野さんもまもなく到着されました。
今回のペインティングは絵筆を使うのではなく、コンプレッサーに繋いだエアガンを使用。まさに日比野さんの手となる道具なので念入りに使い方の確認や、ペンキの色味確認など、一つ一つ丁寧にチェック。すると、時間はあっという間に午前11時!
そろそろだな、と思っていたところ、今日の勝負服である<白いつなぎ>姿の日比野さんが登場し、アシスタントの3331澤田、チーム・ヒビノで記録映像を担当している芹澤さんと共にクレーンに乗り込んでいきました。
そして、いよいよペインティングスタート!まずは青いペンキの線があれよあれよと描き込まれてゆきます。
ここで、3331のお隣にある駐車場にも急遽追加で養生をすることとなり、開始5分程で一旦休止。チーム・ヒビノのみなさんにお願いして大急ぎで駐車場に養生シートで屋根を張り、作業が終わったところでクレーンの上にゴーサインを出して、無事再開しました。
今回のエアガンは、業界一位のシェアを誇る、アネスト岩田株式会社様にご協賛をいただいたもので、事前に幕の布地とペンキとの相性をチェックしていただいた上で挑んでいたのですが、とてもスムーズに描く事ができたようで、開始1時間でどんどん巨大幕の白地に、あざやかな色が着色されてゆきました。
時折、画面から離れて、全体を眺める日比野さん。
今日の勝負服、<白いつなぎ>には、展覧会の英語タイトル「WHY DO PEOPLE DRAW PICTURES?」が。
後半の作業も順調にすすみ、足に繋がった目の信号が脳に伝わり、それが手に指令を出しているかのような図が浮かび上がってきました。
この日の3331は、本当にイベントが盛りだくさんで、大勢の方たちがご来館されており、みなさん館内に入る前に、クレーン・ペインティングの様子をじっと見守られておられました。
午後の休憩後は、絵筆が持ち込まれ、ここでも展覧会タイトル「WHY DO PEOPLE DRAW PICTURES?」の文字が書き込まれて行きます。
正面から見たところ。このあと、さらに手を加え、最後にサインをして完成!
終了後のプチインタビューは、デッキの上でおこないました。笑
「このモチーフは以前にもかいたことがあります。午前中に終わりそうだったけれど、途中、やり過ぎてから時間が意外とかかった。絵を描くってそういうものです。暗くなったから終わりします。今日は上から夕焼けがきれいにみえます。」
途中休憩を挟みながらではありましたが、5時間におよぶ格闘の結果がこちら。展覧会会期終了の12月13日(火)まで設置しておりますので、ぜひ皆様展覧会とあわせて3331へお越し下さい!
なお、今週末からは、トークイベントが目白押しです。
詳細は関連イベントのページをご覧下さい。
http://hibino.3331.jp/event.html
ほかにも、明後日新聞の展覧会連動版が3号まで完成しております!
受付にて30円にて販売中!
チーム・ヒビノによるガイドツアーも毎週土日を中心に開催中です!
ガイドをご希望の方は、受付までお申し出いただくか、参加型作品『ハイフン』のあたりにいるスタッフにお声掛け下さい。(教育期間の皆様向け、団体ツアーも承ります!)
最後に、今回のクレーン・ペインティングに物品等のご協賛・ご協力をいただきました、企業の皆様です。本当にありがとうございます!
◎協賛:Google
◎エアガン、コンプレッサー協賛:アネスト岩田株式会社
◎水性ペンキ協賛:東洋インキ製造株式会社
◎幕布:セーレン株式会社
◎クレーン/オペレーション:三和機工株式会社
撮影/編集:芹澤良克(チーム・ヒビノ)
撮影/編集:芹澤良克(チーム・ヒビノ)